生物機能開発学研究室

東京農業大学農学部デザイン農学科

インタビュー
2020.06.20

クジャクはなぜ綺麗?生き物から学び社会に役立てる、インセクトテクノロジーとは|東京農業大学長島孝行教授インタビュー【前編】

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東京農業大学農学部デザイン農学科の長島孝行教授にお話を伺ってきました。


長島先生の生物機能開発学研究室ではインセクトテクノロジーを中心とした研究を行なっています。


「インセクトテクノロジーとは?」「デザイン農学科って何をするところ?」など、様々な事例を含めて前後編の2回に分けてお送りします。


生き物に学ぶ!インセクトテクノロジーとは?

まずはじめに、生物機能開発学研究室はどのような研究をしているのでしょうか。


長島

僕の研究室では、インセクトテクノロジーを扱っています。


インセクトテクノロジー!?


長島

実は、この言葉は僕の造語なんです。
インセクトテクノロジーというのは、「生き物が持っているデザインを社会に役立たせよう」というものです。


特に、生き物の中で7割から8割を占めている、小さい生き物 (insect)を対象にしています。


小さい生き物が持っているデザインとは、一体どういうものがあるのでしょうか?


長島

例えば、新幹線のドアは蜂の巣のような構造でできています。
蜂の巣は、六角形を敷き詰めたような「ハニカム構造」でできているのですが、新幹線のドアもその構造を取り入れてるんです。


そうすることによって、蜂の巣みたいに軽くて強いドアを、少ない素材で低コストで作ることができるんです。


身近なところでもインセクトテクノロジーが潜んでるんですね!


長島

他にもたくさん例はありますよ。
例えば、この緑色に見えるステンレス製のコップ。このステンレス素材には、実は色素は入っていないんです。



え!?緑色なのに色素が入っていない!?
ではどうして緑色に見えるんでしょうか?


長島

これは例えば、クジャク(孔雀)の羽ってあるじゃないですか。あれは1000年も2000年もずっとあの色なんです。
なぜかというと、それは特別な構造でできているからなんです。


特別な構造?


長島

つまり、ナノサイズの構造です。光の波長よりも小さい構造によって光が干渉し、色が付いてるように見えるんですね。
こういうものを構造色と呼びます。


身近な例を挙げると、CDやシャボン玉の表面がカラフルに見えるでしょう?


確かに……!あれは色が付いてるわけじゃないですもんね。


長島

この構造色を応用したのがこのコップです。
では、質問です。これの良いところはなんだと思いますか?


うーん……。
色が落ちないこと、ですかね?


長島

そうですね。まずは、着色していないので色が変わりません


ただ、それだけではありません。
実は、この素材は全く錆びないんです。
普通のステンレス素材だと、10年くらい置いていると錆びてしまいますが、この素材は錆びない。


そんなに長い間置いてても錆びないんですね!


長島

まだありますよ。
もっとすごいのは、塗料を塗ったり化学物質を混ぜたりしていないので、常にリサイクルできること。
例えば車のボディにこの素材を使えば、ボディの部分が半永久的にリサイクル可能になりますね。


単に生き物の構造を取り入れている訳ではなくて、社会的な利点が沢山あるということですね!


長島

その通りです。
しかも、生き物はこのような仕組みを常温・常圧で作っていて、とても省エネなんです。
生き物に学ぶことで、環境に負荷をかけず、エネルギーや素材も少なくて済み、リサイクルもできる。


生き物がいかに偉大かを実感しますね!



発見、発明、発売まで行う。農学を通したソーシャルデザイン

長島

未来を見据えて社会をうまくデザインしていくこと、これがソーシャルデザインと呼ばれるものです。
デザイン農学科では、このように生き物から学ぶことで、農学を通したソーシャルデザインを行なっています。


テクノロジーだけでなく、社会へ落とし込むところまで考えているんですね!


長島

はい。それは学生を指導する際にも常に言っています。ある物事を見て「すごいなあ」って思うだけではダメなんです。


「すごい」と思ったら解明する、つまり発見
そして、それを実際にやってみる、これが発明
また、社会で使えなかったら意味がないので、発売まで持っていく。


この3つ全てがソーシャルデザインには必要なんですね。


大学の研究室でありながら、そこまで幅広く考えるんですね!


長島

大学の研究室で「発売」までいくのはなかなか難しいことです。
しかし、僕は「実際にここまでやればできる」といった一つの事例を作りたいんです。
こうして、日本の新しい科学のフェーズを作っていければと思っています。



後編では、「発見・発明・発売」のプロセスの一例として、ニューシルクロードプロジェクトについてお話していただきます。

【後編】

発見するだけが科学じゃない!発明・発売まで行う研究室|東京農業大学長島考行教授インタビュー【後編】


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昆虫は約4億年前から地球上で繁栄して様々な環境で暮せる体に進化してきました。 そこには、人間が未だ科学の力で作ることが出来ないナノ構造や、 実に研ぎすまされた機能性と安全性があることがわかってきました。 私たちの研究室では昆虫をはじめとした生物のもつ機能を解明して、 そのしくみを人間の役に立てようという技術の研究を進めています。 これが「インセクトテクノロジー」という技術です。
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