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獨協医科大学医学部小児科学

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2022.03.11

現在の事実と記憶を恐れずに記録することは未来の人類への贈り物となる

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 2011年3月11日、午後14時46分18秒。東北地方太平洋の三陸沖130㎞付近、深さ約24Kmを震源地とする巨大地震が私たちの生活を襲いました。地震の強さを示すマグニチュードは最大9.0と、近代の地震観測技術が確立して以降、日本国内では観測史上最大、そして世界的にも4番目の規模となる未曾有の大震災でした。さらに追い打ちをかけたのが最高位40m以上と痕跡から推定されている大津波と、福島原子力発電所から発生した広い範囲の放射能汚染です。この原子力発電所は当時、ギネスブックに認定された科学技術大国日本を象徴する世界最大規模の原子力発電所でした。


 あれから今日で11年。地震大国である日本は、この大震災の教訓を風化させてはならないと国を上げて、震災に対する多角的な分析と防災対策を推進してきました。その甲斐あって、地震の揺れに強い耐震構造の建築技術や、医療資源とインフラストラクチャーの整備、そして国家の安全や危機管理に対する対応力は、震災以前と比較して確実に向上したと社会的に感じます。しかし、「地震を予知する」という最たる目的の達成においては、世界最先端の研究力を誇る東京大学地震研究所・地震予知研究センターの叡智を集結しても、この先まだ半世紀以上の遠く長い科学の道のりが必要そうにしか思えません。


 こと憂うことに、この11年の月日の中で世界は複雑さを増しています。日々激化するウクライナとロシアの戦争では、ロシア軍がウクライナ国内の複数ヵ所の原子炉を、軍事兵器を用いて武力的に制圧したと報じられました。現在、軍事的に冷却装置の損傷を受けたチェルノブイリやサポロジェの原子力発電所では、使用済核燃料のメルトダウンに伴う放射能汚染が現実に広がる危険性が懸念されています。地球環境汚染の原因と対策を論じる上で無視しかねる由々しき事実は、福島原子力発電所の4ヵ所の原子炉からの放射能汚染の発端は大地震という自然災害でしたが、ウクライナで起きている放射能汚染は、戦争により引き起こされた明白な人災である点です。

 人類が科学技術を革新して、地震を予知したり、津波を打ち消す新技術を手に入れた未来、果たしてこの地球上から互いに人が殺し合う戦争は無くなっているのでしょうか。私は人類が最も時間と予算をかけて真摯に向き合うべき研究対象とは、様々な自然災害や敵対する相手国の地政学的情勢ではなく、生物種たる人間自身に内在する狂気やエゴのメカニズムを解き明かす人間科学だと言い切りたいです。だからこそ、たとえそれが人類の負の遺産となる歴史をもみ消したい惨事であっても、批判や圧力を恐れることなく事実と記憶を記録し続け、絶対に闇に風化させてはならなりません。

 現代の私達にしかできないこと、それは現在の事実と記憶を正確に記録し続けることです。こうして蓄えられた媒体はこれから先の時代において、私たちが振り返る過去の歴史以上に重要な意味を持つ、未来に暮らす人類へのかけがえない贈り物となるはずだからです。





【参考URL】

「チェルノブイリ原発で放射線量が急上昇」 BBC News (26/Feb/2022)

https://www.bbc.com/news/science-environment-60528828

https://www.bbc.com/japanese/60535049

「ウクライナ東部の原発で出火、周囲でロシア軍が攻撃」 BBC News (4/Mar/2022)

https://www.bbc.com/japanese/video-60614294

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今高研究室は「医療を必要とする子どもの最善の利益」を実現する持続可能な社会(Sustainable Developmental Goals; SDGs)の構築を目指し、小児神経学と医療倫理哲学をベースとした療育の有り方について研究をしています。
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