野生動物学研究室

東京農業大学農学部

インタビュー
2020.01.12

野生動物の研究から誕生!超濃厚スイーツに使われるのは何の卵?|東京農業大学 小川博教授インタビュー

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東京農業大学野生動物学研究室の小川博教授にお話を伺ってきました。


小川先生の研究室では、その名の通り「野生動物」についての研究を行っている研究室です。


「野生動物の研究とは具体的にどのようなものか?」「最近力を入れている研究は?」など、野生動物学研究室の魅力について様々なお話を伺ってきました。


野生動物学研究室の特徴は「多様性」

――東京農業大学農学部野生動物学研究室の特徴について聞かせてください。

 

小川 アプローチの多様性といいますか、幅の広さがいちばんの特徴だと思います。野生動物学研究室は私と佐々木剛さん、松林尚志さんの3人の教員で運営しているのですが、専門分野は三者三様です。


具体的には、私は鳥類の繁殖生理の研究、佐々木さんは遺伝子解析にもとづく脊椎動物の系統進化学の研究、松林さんは野生動物の生態や保全、管理に関する研究という具合に、それぞれ違った分野を専門にしているので、学生のさまざまな興味関心に応えることができるのですね。

 

それから、フィールド研究の機会がたくさんあるということも野生動物学研究室の特徴として挙げられると思います。


例えば、静岡県富士宮市の富士農場で2泊3日の合宿を行い、ネズミやモグラなど野生動物の捕獲実習や痕跡調査、植生調査や生息域調査などを実施します。また、雪の降り積もった山で野生動物の足跡などを見つける1泊2日の雪上調査もあります。松林先生のゼミには、ボルネオ島でのオランウータンの調査に同行して、卒論や修論のための研究を行っている学生がいますし、佐々木先生のゼミも、遺伝子のサンプリングのために、あちこちのフィールドに出掛けています。むろんラボで動物を飼育して研究するケースもありますが、野生動物のことはフィールドに足を運んでみなければわからないんですね。




 

濃厚にしてクリーミー!「農大ホロホロカタラーナ」を大学発ブランド商品へ


――最近力を入れている研究について教えてください。


小川 私はホロホロ鳥の産卵生理や人工授精の研究が専門ですが、最近力を入れているのは、家禽資源としてのホロホロ鳥の活用に関する研究です。


特に注目しているのが「卵」です。ホロホロ鳥の卵はおよそ40グラムと鶏卵よりも小さいのですが、殻は鶏卵の倍ぐらいの厚みがあって、すごく硬い。また、卵白が少なくて卵黄が大きく見えるうえに、“からざ(卵帯)”と呼ばれる、卵黄を中心に固定するための白いひもがないので、鶏卵よりも見た目がキレイです。


それより何より味ですよ、味。濃厚かつクリーミーで、じつに美味しいんです


 

小川 個人的な好みでいえば、いちばんのオススメは卵かけご飯なのですが、農学部ではホロホロ鳥の卵を使ったスイーツ「農大ホロホロカタラーナ」を企業と共同で開発しました。「カタラーナ」は、スペイン・カタルーニャ地方のスイーツで、フランスのクリーム・ブリュレのルーツともいわれます。


いまのところ「農大ホロホロカタラーナ」は、厚木市内のパン工房「ブンブン」や世田谷代田にある東京農業大学のアンテナショップ「農大ショップ」など限られた店舗でしか買えませんが、将来的に東京農業大学発のブランド商品の一つとして育て上げ、広く普及させていきたいと思っています。


まぁまぁ、そう堅いことをいわずに、召し上がってみてくださいよ。論より証拠といいますし。


 

――それではちょっと失礼して……オッ、アッ、超濃厚で美味しいです!仕事を忘れそうになりますね。ところで、先生はどのような経緯で野生動物学を研究するようになられたのでしょう。

 

小川 子どもの頃、魚や蛙などの動物を捕まえて飼ったりしていました。これって人間の本能ではないですかね。


それはそれとして、研究者を志した直接のきっかけは、修士課程の頃に、3つ上の先輩で、世界で初めて二母性マウスを誕生させることに成功したことで知られる河野友宏さん(東京農業大学名誉教授)の博士論文の研究を手伝っていて「面白い!」と感じたことです。修士課程を修了するタイミングで、ちょうど厚木中央農場が農業教員の募集を行っていたので応募。助手として就職しました。もともと畜産学の勉強をしていたのですが、同農場では飼育されていたホロホロ鳥に着目し、メスの産卵生理の研究をスタートさせました。農場では実習の指導も行いましたが、そのノウハウは現場で覚えていきました。

 

その後、大学の改組もあって、農場教員を学科に戻すことになり、生物資源開発学科の前身である畜産学科に所属することになりました。そこから、ホロホロ鳥に加えて、ストレスのマーカーとなるホルモンの血中濃度の測定など、人と動物とのよりよい関係を探る研究をはじめたんです。


成り行きによるところも大きいといえば大きいのですが、研究にはいろいろな道がある。これは意外と重要なポイントだと思います。

 

コダワリの強い学生も多い?学生の自主性を大切にする研究室


――研究室の雰囲気について聞かせてください。

 

小川 ひとことでいえば自由ですね。マウスやラット、カメやウズラ、ホロホロ鳥やニホンキジなど、研究室で飼育している動物の世話や、電話対応などは学生にやってもらっていますが、卒業後、動物園に就職する学生も少なからずいますから、勉強になると思いますね。


それと、当然といえば当然なのですが、みんな動物が好きですね。アレルギーの学生もいますが「小さい頃から動物が好きで……」といって入ってくる学生が多いです。また、農学は“食”と深い関係がありますから、食べたり飲んだりが好きな学生が多い印象です。



 

――学生や院生の指導方針についてはいかがでしょう。

 

小川 3人の教員それぞれで多少の違いはあると思いますが、「このテーマを研究しなければいけない」なんてことはしていません。指導しきれなくなるといけないので一定の枠組みは設けていますが、基本的には学生の自主性に任せています。「こういうテーマで研究したい!」と学生がいってきて「できるな」と思ったらどんどんやらせます。もっとも、結果を出すのは難しいなと思ったら「ほかにもこんな面白いテーマがあるよ」という具合にやんわりと方向転換を促すことはありますけどね。


野生動物研究室に入ってくる学生は、「研究手法など学問的なテーマを究めたい」とか「この動物について研究したい」というように、コダワリが強いといいますか、コアな興味を持った学生が多いので、こちらとしてもやりがいがありますね。




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当研究室の目的は、野生動物がいかに人間生活を豊かにしているかを地球的視野で研究することである。具体的には、野生動物の生息状況の把握とモニタリング、生息環境利用の解明による生息域内での保全・管理、家畜化と新たな動物遺伝資源の探索、飼育下における繁殖や内分泌、行動解析による生息域外での保全や飼育環境の向上等の研究をフィールドおよび実験室で幅広く展開している。
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